ディズニーランドで欠かせないのが”パレード”です。
その中でも2001年から開催されている夜のパレード『東京ディズニーランド・エレクトリカルパレード・ドリームライツ』はディズニーランドの顔として、1985年の初代「エレクトリカルパレード」と並んで広く知られています。
2015年7月からは「塔の上のラプンツェル」のフロートも登場して、ますます盛り上がっていますね。
パレードルートの距離は?
さて、ディズニーランドのパレードを告げるアナウンスを聞いていると「ファンタジーランドをスタートしたパレードはウェスタンランドを通り、プラザを抜けるとトゥモローランド、そしてトゥーンタウンへと向かいます。」とパレードルートについて紹介されていますが、パレードルートの距離(総延長)はどれくらいだと思いますか?
答えは、約850mなんですよ!
この広大なパレードルートを舞台に「エレクトリカルパレード・ドリームライツ」「ハピネス・イズ・ヒア」と言ったレギュラープログラムや、「ヒッピティ・ホッピティ・スプリングタイム(春)」「ディズニー・ハロウィーン・パレード(秋)」「フローズンファンタジー・パレード(冬)」などのスペシャルプログラムが繰り広げられるわけですが、どの鑑賞場所でも楽しめるようパレードルートにはある工夫が施されています。
鑑賞場所に左右されない音楽の不思議
その工夫が『音楽』です。
普段何気なくエレクトリカルパレード見ていてこんな疑問を感じたことはありませんか?
「パレードの先頭が接近するとイントロが始まり、パレードが終わると曲もぴったり終わる。しかも、一旦パレードがはじまると曲は途切れない。」
普通に鑑賞しているとあまり気が付かないのですが、パレードルート終端(トゥーンタウン)で鑑賞していても、音楽はパレードが接近しないと始まらないですし、キャラクターが乗っているフロートが通過しても、次のフロートが到着するまでの間は音楽が絶え間なく流れています。そして、パレードのフィナーレとなる”スモールワールド”が通過すると音楽はエンディングを迎えます。
「見ているシーンと音楽がぴったりリンクしている」
ドラマや映画ではごく自然な音楽の使い方ですが、ディズニーランドでは鑑賞場所によってパレードの到着時間が異なりますし、フロートが緊急停止するハプニングも想定されるため「CDを流しっぱなし」と言うわけにはいきません。そのため、「音楽の作曲(アレンジ)」と「音響システム」によってこの問題を解決しています。
作曲に隠された秘密
まず、ディズニーランドのパレードで聞こえてくる音楽について解説しましょう。
パレードで使用される音楽はパレードルート上に設置された約200個もの”固定スピーカー”と、フロートに設置された”フロートスピーカー”の二か所から流れています。
パレードルートに設置された固定スピーカからはアンダーライナーと呼ばれるリズムを中心とする伴奏が絶え間なく流れており、フロートが到着するまでの”間”をつないでくれています。
一方、フロートに設置されたスピーカーからは、キャラクターのテーマソング・声などの主旋律が奏でられています。
もちろん、固定スピーカーから流れるアンダーライナーは通過するフロートのキャラクターごとに音楽が異なるのですが、例えば、右側から”ふしぎの国のアリス”のフロートが発する主旋律、左側から”白雪姫”のフロートが発する主旋律と、異なるフロートが発する主旋律が混ざっても不協和音とならないよう作曲されています。
音響システムに隠された秘密
そして、固定スピーカーから流れるアンダーライナーと、フロートスピーカーから流れるテーマソングをシンクロさせるのが、パレードを制御する音響システムです。
ディズニーランドのパレードルートにはセンサーが至る所に埋められており、このセンサーがフロートの位置を感知して音響システムに伝達します。そして、音響システムから固定スピーカーに対して「パレードの先頭が接近したから音楽スタート!」「白雪姫の伴奏を繰り返してね♪」「繰り返しを解除してアラジンの伴奏へ切りかえてね♪」のような指示をリアルタイムに出しています。
この音響システムによる音楽の制御は1ミリ秒(1000分の1秒)と言う超高精度なタイミングで行われていると言うから驚きです。
そのため、ハプニングでパレードが緊急停止してもCDを流しっぱなしにしたときのように「音楽が終わってしまう」と言うことはなく、停止した位置のフロートに合わせたアンダーライナーが絶え間なく固定スピーカーから流れ、無事にパレードが動き出せばアンダーライナーは位置情報から自動的に次の音楽に切りかえていくわけです。
まとめ
何気なく見ているパレードですが、音楽を作曲する段階での工夫と、その音楽を再生する最新システムのタッグによって、イントロからエンディングまで統一感のあるストーリーを展開し、私たちに感動を与えてくれていたのです。
また、今ではスマホなどで当たり前となったデジタル方式による音楽の再生方法も、ディズニーランドでは昔から導入してたことを考えるとその”プロ意識”には脱帽させられますがみなさんはいかがですか?
最後に「なんで、そんなシステム知っているの?」と思われるかもしれません。
実はこのCDのジャケット内に音楽の秘密が解説されており、アンダーライナーだけを収録したトラックもあるんですよ。正直、ディズニーの音楽CDで”ネタバレ”があるのも珍しいのですが、エンターテイメントの秘密に迫りたい方はぜひチェックしてみてください!
