「扉一つない部屋で、身の毛もよだつ不気味な響きが館の中に広がる…」 このフレーズでおなじみの『ホーンテッドマンション(The Haunted Mansion)』
そんな不気味なホーンテッドマンションについては、以前「ホーンテッドマンション」待ち時間13分など不気味な演出の数々」の記事でも色々解説したのですが、今日は『あれは、どういう仕組みになっているの?』と言う視点で記事を書いていこうと思います。
もちろん、記事は「ネタバレ」と言うか、仕組み(システム)について書いていますので、「知りたくない!」と言う方はスルーしてくださいね。
「伸びる肖像画の部屋」天井が消える秘密
ホーンテッドマンションの醍醐味と言えば、ライドに乗る前のプレショー『年老いていく肖像画の間』と『伸びていく肖像画と壁の間』ですよね。
その中でも二部屋目の『伸びていく肖像画と壁の間』では「部屋が伸びている」と言う不思議な体験しますが、それ以上に「えっ!」と驚くのが、「あたしならこうやって出るがな…」と言うセリフに続く、天井が雷鳴とともに一瞬にして無くなる(ゴーストホストの亡骸が見える)シーンではないでしょうか?
「天井はどこに行ったの??」
なんとも不思議ですよね。
ただ、この仕組みは至ってシンプルで、みなさんの家庭にある「レースのカーテン」を応用したものです。
例えば、昼中に明るい屋外から部屋を覗いてもレースのカーテンによって中の様子を知ることはできません。しかし、夜になると明るい部屋の中は丸見えです。
実は、この仕組みを使っているのです。
みなさんが見ている天井は、「天井の模様が描かれたレースのカーテン」なのです。これを演劇用語で『紗幕(しゃまく)』と言います。
肖像画の部屋が明るいとき、暗い天井裏のゴーストホストは紗幕(天井)に遮られゲストからは見ることができません。しかし、部屋が真っ暗になり「あたしならこうやって出るがな…」と言うセリフとともに、天井裏が雷によって照らされると、紗幕の向こう側の天井裏が明るくなるためゴーストホストが見えるわけです。
舞踏会の亡霊が出現する仕組み
そして、ホーンテッドマンションのメインと言えば「一族がよみがえる舞踏会」ではないでしょうか?
踊り続けるカップル、撃ち合いをする紳士、ディナーを楽しむ貴族、オルガンを弾く紳士など、実際に置かれているテーブルやオルガンに、ふわっと亡霊だけが表れては消える光景に驚かされた方も多いはず。
一体、どのような仕組みになっているのでしょうか?
キーワードは「ガラス」です。
例えば、高層マンションやホテルの部屋から夜景を見ると、明るい部屋の中の様子が窓ガラスに映り込みますよね。これが亡霊が出現する仕組みです。
みなさんが「ドゥームバギー(ライド)」から見ているテーブル・オルガン・シャンデリアなどのオブジェが夜景だとすると、窓ガラスに映りこんでいる部屋の様子が亡霊なのです。
実は、ドゥームバギーと舞踏会場の間には「ハーフミラー」と呼ばれるガラスが設置してあり、私たちはハーフミラーの向こう側に見える舞踏会場と、ハーフミラーに反射した亡霊の姿が重なり合った光景を見ていたのです。
このように最新技術が導入されているかと思いきや、結構古典的な手法が取り入れられていたわけです。古典的であっても未だに「なぜ?」と感じさせるのはさすがディズニーと言った感じではないでしょうか。